夏の嵐と笑わない向日葵
「向日葵、あのな……」
「うん……」
ふいに真剣にあたしを見つめる嵐君に、あたしは姿勢を正した。
「今日って、なんの日だか知ってるか?」
「今日……?」
今日、何か特別な何かがある日だったかな?
そういえば、カレンダーに☆印がついてたの、嵐君知ってるかも。
「カレンダーに☆印ついてたけど、あれって…」
「俺がつけた!やっぱ覚えてねーな、俺、前に何回も聞いたろ?」
☆印、やっぱり嵐君だったんだ。
何回も聞いたって、何か聞かれたっけ??
頭をフル回転するけど、全然思い出せない。
分からなくて、首を傾げる。
「さーて問題です、今日は何の日でしょう!チ、チ、チ、チ」
時間制限つきのクイズ大会のようなタイマー音を口で真似ながら、嵐君は楽しそうにあたしの右手を握る。
「え、え??」
何だったかな。
つい最近、嵐君が何回も言った事って??
あ……そういえば、ほんの数日前から、嵐君はスマホで何かを必死に検索してたっけ。
聞いても「秘密!」の一点張りだった。
それから……。
『なぁ、向日葵の誕生日って8月何日?』
『16日……だったと思う』
そうだ、ほんの4日程前、嵐君に誕生日がいつかって聞かれた気がする。
自分の誕生日なんて、毎年くるだけで、それを特別に思った事はなかった。
だから、あたしは誕生日が16日だったって、嵐君に言われて思い出したんだ。