夏の嵐と笑わない向日葵
「たくさん、たくさん愛されてたのに……やっと気づけた」
「そうか……」
「嵐君のおかげだよ、大切な事に気づかせてくれてありがとう」
あたしはやっと、お母さんとお父さん、おばあちゃんの死と向き合えた気がする。
「向日葵は、色んな人に愛されてんだ。そんで、これから俺に、死ぬほど愛されんぞ、覚悟しとけ」
「え……と、すごい……殺し文句だね」
でも、嵐君なら言った通り、幸せすぎて死んでしまうくらいに愛してくれる、そんな気がする。
「好きなんて言葉じゃ足らねーよ、俺は、向日葵を愛してんだ」
嵐君があたしの右手をとり、指輪にそっと唇を寄せた。
「愛してる……向日葵。傍にいれなかった親御さんの分も、俺が幸せにする」
「嵐君……」
「そんで、雅子ばあちゃんとの約束、俺が向日葵を守るってやつも、果たす!」
頬を優しく撫でられる。
そして、人差し指で愛しそうに輪郭をなぞられた。