夏の嵐と笑わない向日葵
「そういえば……」
あたしがおばあちゃんの家に来てすぐ、向日葵畑で倒れた事があった。
その時は確か……。
『これはね、おばあちゃん特製の万能薬なんよ』
そう言って渡された飲み物を飲んだ瞬間、みるみる元気になったのを思い出した。
「レシピ、どうだったかな……」
おばあちゃんは確か、『浸けた梅に、炭酸ジュースに、砂糖かハチミツを入れるんよ』って言ってた気がする。
あたしは冷やし中華を作りながら、おばあちゃん特製、万能薬を作った。
「ニャー」
食事を居間に運ぼうとすると、ノラがあたしの足にすり寄ってきた。
「ノラ、嵐君は?」
「ニャー」
ノラは嵐君を遠くから見つめている。
まだ、慣れるわけないか。
ノラは人間に捨てられたせいなのか、あたし以外にはなつかない。
「起きられる?」
「ん、おぉー」
そう言って起き上がった嵐君は、やっぱりまだ顔色が悪かった。
「これ……」
「…うぅ…サンキューな」
嵐君は怠い体であたしからコップを受けとると、万能薬を一気に飲んだ。
ゴクンッ、ゴクンッ
「……ぷはっ…うめー!!」
「!?」
あれだけ死にかけていた嵐君は、万能薬を飲んだ途端に元気になった。