夏の嵐と笑わない向日葵


「誰かの……心と心を繋げられたらって思うんだ」


ただの花とかじゃなくて、その花をきっかけに、普段伝えられない気持ちとか、想いを届ける手伝いが出来たらって思う。



「加島らしいな」

「そうかな、ありがとう。勝俣君は?」



学校でこんな風に友達と話すのは、こんなに楽しかったかな。今までなら、誰とも1言も話さないって事もあった。


「俺は、東京の医学部に行く」


勝俣君、頭良いもんね。
クラスどころか、学年の成績順位も高いし。



「もう、決まったんだ?」

「推薦だったから、夏休み前には決まってたな」


知らなかった。
みんな、もうずっと前から自分の未来に目を向けてたんだ。


「加島は、花屋に就職?」

「うん、東京の花屋に」


これは、あたしが自分の為に生きると決めた結果。


おばあちゃんの家を置いて、向日葵畑を置いていくのは、そこに込められた思い出を捨てる事じゃないって最近気づいた。


あたしは、ここまでたくさんの人に助けられてきた。

だから、その分幸せに、自分のしたいように生きることこそが、お母さんとお父さん、そしておばあちゃんへの恩返しだと最近思えるようになった。















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