夏の嵐と笑わない向日葵
「嵐君は、少し大人っぽくなった」
「そ、そうかー?」
嵐君は照れ臭そうに自分の前髪を弄る。
あぁ、嵐君のいつもの照れ隠しの癖。こういう所は、変わってないんだなぁ。
「てか、向日葵。もうそろそろ良いだろ?」
「うん?」
嵐君は恨みがましそうにあたしをジト目で見つめる。
え、え??
そろそろって、何がだろう。
嵐君がなんの事を言っているのかわからず、首を傾げる。
「彼氏なんだし、嵐って呼べよ」
「!!」
あれ、これどこかで聞いた……。
『同い歳なんだし、嵐、嵐って呼べよ』
あぁ、最初に嵐君と会った時。
久我君って呼んだあたしに、嵐君が言った言葉だ。
でも、あの時とは全く状況が違う。
嵐君の言う通り、あたしは嵐君の彼女なんだ。