夏の嵐と笑わない向日葵
「あ…えと、えーと……」
今まで呼び慣れた名前を、呼び捨てで呼ぶのは、すごく恥ずかしい。
耳に熱が集まり、真っ赤になっているのを感じる。
「俺を、向日葵の特別にしろよ」
嵐君は、もうあたしの特別だよ……。
他の誰かなんて、考えられない。ただ、嵐君だけが好き。
「あ……嵐」
「っ!!向日葵!!」
ガバッ!!
嵐く……嵐に、強く抱き締められる。
この腕の強さ、嵐の匂い……久しぶりだ。
あぁ、安心する。
ここが、あたしの居場所だ……。
「俺、何度も向日葵に恋してるみてーだ。向日葵は俺の彼女なのに、変だよな……」
嵐……。
嵐の言葉に、胸が締め付けられる。それなのに、心が満たされていく。
「こんなに繋がってても、あたしも何度も嵐が好きだなって、実感するよ」
抱き締められる嵐君の背中に手を回して、胸に頬を擦り寄せた。