夏の嵐と笑わない向日葵
「またやって、あの子の身内が死ぬの」
「なんや、不気味やね」
「雅子さん、なんやガンだったって言ってたやないん?」
「そやけど、死にすぎやて」
周りの気味悪いモノを見るような目が、あたしに集まる。
あたしは、遺影の中で笑うおばあちゃんを見つめた。
「おばあちゃん……」
そう、雅子おばあちゃんは、あたしを置いてガンでこの世を去った。
また、あたしを置いて皆……居なくなってしまった。
あたしに何度も話しかけてくれて、優しく頭を撫でてくれて、時にはギュッと強く抱き締めてくれた。
あの温もりは、もう……無い。
60歳という若さで亡くなったおばあちゃん。
ガンだったから、たぶんもっと前から分かっててあたしと過ごしていたんだと思う。
後から聞いた話だけど、おばあちゃんは余命を宣告されても、治療は受けずに、あたしの傍にいる事を選んだのだと聞いた。
そう、あたしのせいで……おばあちゃんは死んだんだ。
そして、きっと両親もあたしのせいで死んだんじゃないか、そう思えてきた。
そう、あの噂話のように、あたしに不吉な何かがあって、あたしの存在が皆を不幸にしているのだとしたら…。