夏の嵐と笑わない向日葵
「向日葵、髪乾かさないと風邪引くぞ」
嵐君はドライヤーを持って横になったままのあたしに近づく。
「忘れてた………あれ?」
髪に触れて初めて、髪がほどけている事に気づく。
あ……。
あたし、いつの間に髪、ほどいたんだっけ??
お風呂から出たときは髪をまとめていたはずだ。
「あぁ、なんか寝ずらそうだったから、ほどいちまった」
嵐君はあたしの黄色いリボンを持っていた。
「ニャー!」
「あ、ノラの事も乾かさなきゃ」
あたしが寝ちゃったから、乾かしてあげられなかったんだ。
「ノラもお前も、俺が乾かしてやるよ。向日葵、そのままそこに寝てな」
嵐君はあたしとノラの返事も待たず、ドライヤーであたしの髪とノラの毛を乾かしていく。
ブオォォォッ
髪をすかれる感覚に、心地よさを感じる。
ノラもあたしの隣に丸まっていた。
珍しい、ノラも気を許してるなんて……。
「黄色いリボン、ノラとペアルックか?」
「あぁ……」
ノラの首のリボンと、あたしの髪留めを見てそう思ったんだろう。あたしは頷いた。