夏の嵐と笑わない向日葵
③潮風の贈り物
嵐君が家に来た次の日。
あたしと嵐君は、買い出しにスーパーへと来ていた。
「重いだろ、俺が持つって!」
「大丈夫」
あたしの持つレジ袋の中には、納豆パックやそうめんなどの軽いモノばかりだ。
なのに、さっきから嵐君はあたしから荷物を奪おうとする。
それをあたしが無視をするの繰返しで、家までの道を2人で歩く。
「やっぱ東京とはちげーな!」
しばらく歩くと、嵐君は辺りを見ながらそう叫んだ。
あたしはそれを無言で見つめる。
「建物が少ねーし、静かだし、何より空気がうまい!!やっぱ、田舎はい良いよな!!」
両手を広げて深呼吸する嵐君に、あたしは首を傾げる。
見るからに都会っ子な嵐君なのに、こんな田舎が良いの??
東京と違って、カラオケとかゲーセンとか、遊ぶところも無いけど…。
「って、おぉ!!」
すると、何か宝物を見つけたかのように目を輝かせて立ち止まる嵐君。
「どうしたの?」
「海じゃん!!やべー!!」
何がやばいのか分からないけど、嵐君が興奮してるのは分かった。