夏の嵐と笑わない向日葵
「綺麗って、何が??」
「……嵐君の髪…」
あたしは、ほとんど無意識に嵐君の髪に手を伸ばし、指に絡ませる。
「っ……向日葵!?」
「嵐君は……綺麗で、眩しすぎる…」
頬を赤く染めて息をのんだ嵐君を見つめる。
色んな事に後悔して、いつ死んだって良いと思えるくらいに無気力なあたしとは違う。
素直に生きる嵐君は、本当に眩しい。
眩しすぎて、自分が消えてしまいそうで怖い。
嵐君とは、何もかもが正反対すぎる。
「綺麗なのは、向日葵の方だっての……」
後頭部をガシガシ掻きながら、嵐君はあたしから視線をそらして、照れくさそうにそう言った。
「あたしが……綺麗?」
そんなわけない。
あたしは、嵐君みたいに素直になれないし、他人を不幸にばかりする自分が大嫌いなのに…。