夏の嵐と笑わない向日葵
「なぁ、卒業したらさ、ここ出て東京に来いよ!俺が、楽しい所連れてってやるし」
「東京……」
あたしが東京にいたのは中学1年生までだ。
学校の記憶しかないから、あんまり東京の街で遊んだ記憶はない。
「まぁ、一緒に来るって絶対言わせるけどな!」
「……横暴」
なんでいつも、そんな強引なの??
あたしの意見というより、すでに決定事項になってるし。
「っくちゅ……」
「お、おい大丈夫か!?ってか、くしゃみ可愛いすぎだろー!」
くしゃみが可愛いとか……。
それ、あんまり嬉しくないし、どう喜べばいい??
突然騒ぎだす嵐君にあたしはため息をつく。
このまま、嵐君とここにいたら風邪をひきそうだ。
「帰る……」
「あ、待てってー!」
せっせと帰り支度をするあたしの後を、嵐君が追いかけてくる。家の外で、それも潮風に当たるのも悪くない、そう思えた。