夏の嵐と笑わない向日葵
嵐君と出掛けた次の日。
案の定、あたしは風邪をひいてしまった。
「さ、38℃ジャスト……」
嵐君は体温計を見て、肩を落とした。
そういえば、昨日の夜は悪寒がすごかった。
それはもう、夏なのに真冬のような寒さだった。
「ごめん!俺が海に引きずりこんだせいだ…」
あたしは寝室の布団に横になりながら、肩を落とす嵐君を見上げる。
嵐君のせいで風邪をひいたと思ってるんだ。
そんなの、嵐君のせいじゃないのに…。
「昨日……」
「……え?」
話し出すあたしを、嵐君は不安そうに見つめた。
「すごく、楽しかった。だから、風邪をひくのも、あたしが加減を知らずに遊んだせい」
「向日葵……」
「だから、嵐君のせいじゃない…」
むしろ、あんな風にはしゃいだのはいつぶりだったか。
あんな、心踊るような感覚は、久し振りだった。
それを思い出させてくれたのは、嵐君だから…。
感謝はしても、怒ったりなんてしない。