夏の嵐と笑わない向日葵
「だって、あたし気味悪いって…」
「ニャア……」
猫は段ボールを出て、あたしの足元へとすり寄ってくる。
雨はあたしも猫もお構いなしにびしょ濡れにした。
「君……」
猫は、そんなあたしでもいいよって言ってくれた気がした。
あたしは猫の前にしゃがみこみ、黄色いリボンで編んだ三編みおさげの片方をほどいた。
そして、その黄色いリボンを猫の首につけた。
「ノラ、家にくるならおいで。君が望むうちは、どれだけここにいても良いよ」
そう言ってあたしが門をくぐると、ノラはあたしの後を追って家に入った。
そう、大切なおばあちゃんが亡くなったあの日、この家にはまた、家族が増えたのだ。