夏の嵐と笑わない向日葵
「楽しかった……そうか、向日葵がそう思ってくれて、すげー嬉しい」
嵐君は、あたしの頭を優しく撫でた。
「俺、頑張って看病するから、早く風邪治して、またどっか遊び行こーな!」
そう言って笑う嵐君に、あたしは頷いた。
早く風邪、治そう。
また、嵐君とどこかへ行きたい……。
怠い体で、そんな事を考える。
風邪の辛さも忘れるくらい、あたしにとっては楽しい時間だったんだ。
「向日葵、看病って何したらいいんだ!?」
はりきったはいいが、さっそくつまずいてしまった嵐君に、あたしはノラのご飯と向日葵畑の水やりを頼んだ。
「分かった!任せろ!!」
そうしてはりきる嵐君を見送って、あたしは体を起こして体を拭き始めた。
汗…ずいぶんかいたな。
この分だと、もう一回着替えるはめになるかも。
あたしは寝巻きの浴衣を引き出しから取り出す。
いつもはワンピース一枚で寝るのだが、しょうがない。
他のワンピースは洗濯中だし…。
そうして服を脱いで浴衣を着ようとした瞬間…。
ガラガラ
「なぁ、向日葵!水巻き用のホースって……ってわぁぁっ!?」
「っ!?」
上半身裸のあたしを見た嵐君は、あたしより大きな悲鳴を上げた。慌てて着物の合わせを重ねて、嵐君に背を向ける。