夏の嵐と笑わない向日葵
「はよ、向日葵……って、どうした?」
「え…?」
考え事をしていると、嵐君が起きてきた。
あたしの顔を見てすぐに首を傾げる。
「ボーッとしてっからさ」
そんなに、かな。
最近気づいた事だが、嵐君は何も考えていないようで、よく人を見てる。
「夢の事…思い出してて…」
トントントンッ
あたしは料理を再開させながら、嵐君にそう答えた。
「へぇ、どんな夢??」
嵐君は台所の壁に腕をくんでもたれた。
それを横目で見て、あたしは話し出す。
「向日葵畑で……あたしの名前がなんで向日葵なのかを聞いたの時の夢…」
夢というより、事実だ。
あの頃の記憶を夢見るなんて、どうしてかな。
あたしは手を止めて考え込む。
「俺も興味あるな、何で向日葵なんだ??」
「それは……」
ボコボコボコッ
「!!」
「味噌汁吹きこぼれてんぞ!」
嵐君が慌てて火を止めてくれる。
今日のあたし、ずっとボーッとしてる。
いけない、シャキッとしなきゃ……。