夏の嵐と笑わない向日葵
「前より…この名前が好きになれた」
小さく笑うと、嵐君は息をのんだ。
「っ!!」
嵐君は、あたしを見て目を見開く。
そして、本当に嬉しそうに笑って、ギュッとあたしを抱き締めた。
「わっ!」
「向日葵が笑った!!やべ、すげー嬉しい!!」
そんな大げさな……。
あたしの事なのに、自分の事のように嵐君は喜んでくれる。
「く、苦しい……」
嵐君、力が強すぎる……。
でも……その息苦しさも、悪くはないと思える。
「少しずつ、少しずつ取り戻してこうな!」
そう言ってさらに強く抱き締める嵐君に、あたしはまた笑った。
こんな風に自然に笑えたのは、嵐君が真っ直ぐにぶつかってきてくれるから。
嵐君の優しさは、長い間枯れていたあたしの心を、ゆっくりと、潤し、癒していくのだった。