夏の嵐と笑わない向日葵
日が暮れ始めた所で、あたし達は向日葵畑から家に戻った。
玄関の前でお互い、自分の格好を見て困り果てる。
「げ…俺、すっげぇ汚くねぇ?」
自分の姿を見下ろして悲鳴を上げる嵐君。
それもそうだ、だって今のあたし達は泥だらけなんだから。
「あたしも……泥だらけ」
あたしは、嵐君に向かって、泥だらけのワンピースの裾を軽く持ち上げてみせる。
「つか、向日葵は顔についてんぞ」
嵐君はそう言って、おもむろに自分の手を服の綺麗な所で拭いて、あたしの頬の泥を拭ってくれた。
「ありがとう」
「お、おー……」
ペコリと頭を下げると、嵐君は照れ臭そうに笑った。
「ニャー!」
二人で立ち話をしていると、玄関でノラが座ってこちらを見つめていた。
「ノラ、ただいま帰ったぞー!」
「ニャー!」
嵐君の声に返事をして、ノラはこちらへやってくる。
そして、あたしと嵐君の間にちょこんと座った。