夏の嵐と笑わない向日葵
「ノラ、帰るの遅くなってごめん」
「ニャー」
あたしが謝ると、ノラは一鳴きして、あたしの足にすり寄った。
「ノラ、泥がついちゃうよ」
「ハハッ、ノラも仲間に入りたかったんじゃねー?」
嵐君は可笑しそうに笑って、ノラの頭をガシガシと撫でた。
そっか、ノラも寂しかったのかも。
なら、今日は一緒にお風呂に入ってあげよう。
「ってか、腹減った~!!」
「あ…お昼ご飯……忘れてた」
もう、夕方だ。
昼ご飯も忘れて、こんなに何かに一生懸命になったのはいつぶりだったかな。
「本当だな、早く入ろうぜ」
「うん」
そう言って二人で家の中へと入る。
先に上がった嵐君の後を追って上がると、玄関に並んだら2つの靴が目に入る。
いつの間にか、嵐君の靴がこうやってここに並んでる事、嵐君が傍にいることが、普通になっていた。
「ん?どーした、向日葵」
「……ううん、何でもない」
このまま、夏休みが終わったら…。
あたしは、嵐君がいない事の方が、不思議に思えるのかな…。
そんな事を考えながら、あたしは、あたしは嵐君の後を追ったのだった。