夏の嵐と笑わない向日葵


「ニャー!」

「!!」


ノラの声で、ハッと我に返る。
いつの間にか、物思いに耽っていたみたいだ。


いつもより早起きをした朝、縁側でノラと一緒に猫じゃらし遊びをする。


「ごめん、ノラ」


猫じゃらしを振るのを忘れたあたし催促するように、ノラは「ニャー、ニャー」と鳴いた。


「雨降りそう……」


厚い雲が覆う空に、いつもより涼しい風。
今日はさすがに薄い上着を肩から羽織っている。


肌にまとわりつく湿気と、雨の匂い……。
これは一雨くるかもしれない。


「ねぇ、ノラ……」


遊びに夢中のノラに、あたしは話しかける。


「ノラは、ずっとここにいてくれる?」


あの日の事を思い出したからかな。
それが尾をひいてて、不安になっていけない。


















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