夏の嵐と笑わない向日葵


ノラにとっては、生きる為にあたしが必要だった。
そこにいたのがあたしでなくても…良かったんだ。


ここにいて…とはいえない。
あたしに、ノラを縛れるほどの価値があるとは思えないから。


ゴゴゴッ……


「嘘、雷……?」

ポタッ、ザーッ!!


空が唸ってる。
やだ、本当に雨まで降ってきちゃった……。


「ニャー」


雨が降り始めて、ノラが部屋の中に入ろうとする。


「待ってノラ、その足で中に入ったら汚れちゃう」


あたしは、中に入る寸前でノラを抱き上げた。
その瞬間ー…。


ズドーンッ!!


「っ!?」


一際大きな雷が落ちた。
それに驚いたノラが、あたしの腕の中で暴れだす。


「ニャー!!」

「っ…ノラ!?」


シュッ!!

ノラがあたしの腕の中から飛び降りる。その時、ノラの爪が腕にかすった。


「痛っ……」

腕にできた爪のあとから血がにじむ。


それよりも、ノラだ!!
ノラはどこに……。
















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