夏の嵐と笑わない向日葵


「誰かを、不幸にしてしまうあたしは…そんな風に誰かを縛ってはいけないと思った」


なのに、あたしはノラと離れたくない。
これからも、一緒に寝て、お散歩をして、もっと一緒にいたい。


「理由なんて、傍にいたいって気持ちだけで十分だろ」

「え……?」


その言葉に、雨から嵐君へと視線を移す。


「向日葵は、ノラといたい。引き留める理由は、それだけで十分だって言ってんだ」


嵐君は、あたしの手を強く握る。


「難しく考えんな、人の気持ちなんて、そいつにしか分かんねぇんだから。まぁ、ノラは猫だけどな」


グイッとあたしの手を引き、立ち上がらせる。そして、あたしの腰を引き寄せた。


「わっ…」

「会いたい奴には会いに行く!縛り付けたいならそーしちまえばいいんだよ!」


不敵に笑う嵐君に、あたしは目を見開く。


言葉はアレだけど、そんなに迷わずに答えを出してしまうなんて…。


嵐君は、真っ直ぐで強い人だ。



「嫌われたらなんて、嫌われた時に考えろ!やらないうちから諦めんな!」


「うん…うん!」


あたしは、その言葉に背中を押されるように、自然と頷いていた。



















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