夏の嵐と笑わない向日葵
「今年も、たくさん咲いたね…」
おばあちゃんは、あたしの名前と同じだからとここに向日葵を植えてくれたのだと、生前お母さんから聞いていた。
あたしは……この名前にはみあってないなとつくづく思う。
向日葵は、太陽を見上げる花だ。
不幸ばかり呼ぶあたしは、太陽に嫌われてしまうのではないか、そう思って俯いてばかり。
「ニャー、ニャー!」
ノラは、風に揺れる向日葵に手を伸ばして跳び跳ねていた。
そんなノラを見つめながら考える。
おばあちゃん、あたしはこの場所が好きだけど……。
「どうしてこんな場所を残していなくなったの…」
あたしを想って残してくれた向日葵。
なのに、あたしの大切な人達はどこにもいない。
まるで、あたしのせいで大切な誰かが消えていくように思えて、苦しくなる。
いつもあたしに優しくしてくれた。
なのに、あたしは何も返せなかった。
おばあちゃんの大切にしていた向日葵畑の面倒を見ているのは、償いの気持ちなのかもしれない。
「はぁ……」
向日葵畑の中、空を仰ぐ向日葵とは反対に、深いため息をついてうつむくのだった。