夏の嵐と笑わない向日葵


「今年も、たくさん咲いたね…」


おばあちゃんは、あたしの名前と同じだからとここに向日葵を植えてくれたのだと、生前お母さんから聞いていた。



あたしは……この名前にはみあってないなとつくづく思う。
向日葵は、太陽を見上げる花だ。


不幸ばかり呼ぶあたしは、太陽に嫌われてしまうのではないか、そう思って俯いてばかり。


「ニャー、ニャー!」


ノラは、風に揺れる向日葵に手を伸ばして跳び跳ねていた。
そんなノラを見つめながら考える。


おばあちゃん、あたしはこの場所が好きだけど……。


「どうしてこんな場所を残していなくなったの…」


あたしを想って残してくれた向日葵。
なのに、あたしの大切な人達はどこにもいない。


まるで、あたしのせいで大切な誰かが消えていくように思えて、苦しくなる。


いつもあたしに優しくしてくれた。
なのに、あたしは何も返せなかった。


おばあちゃんの大切にしていた向日葵畑の面倒を見ているのは、償いの気持ちなのかもしれない。


「はぁ……」


向日葵畑の中、空を仰ぐ向日葵とは反対に、深いため息をついてうつむくのだった。
















< 7 / 200 >

この作品をシェア

pagetop