夏の嵐と笑わない向日葵
「……………」
雨足が酷くなった。
あたしは、一人玄関の前で1人1匹の帰りを待つ。
嵐君は、ここに誰かが残って、ノラを待っていた方がいいだろうと言って、1人、この雨の中に出ていった。
「ノラ、嵐君……」
洗いたてのタオルを2つ持って、あたしはずっと門の向こうを見つめる。
「会いたい奴には会いに行く……か。嵐君らしいな」
嵐君の言葉は、あたしの心を動かしてくれる。それでいいんだって、いつも背中を押してくれるんだ。
「お願い、2人とも……早く帰ってきて…」
帰ってきた時、すぐに体を温められるように、お風呂のお湯を沸かせた。
男の人の服を準備するのは、ちょっぴり勇気がいったけど、嵐君の着替えだって準備した。
ノラが帰ってきたら、「おかえり」って、抱き締めて、ずっとここにいてほしいって伝えよう。
それで、嵐君には心から、「ありがとう」って伝えるんだ。