夏の嵐と笑わない向日葵
「ノラ、あたしは、ノラと一緒にいれた時間がすごく大切だよ」
嵐君の腕の中にいるノラが、ジッとあたしを見ていた。
出会った時、お互いにボロボロだったけど、だからこそ、あたし達はまるで言葉が分かるように通じあってる。
「ノラ、あたしはあの時、ノラが望む限りはここにいて良いよって言ったけど…」
それは、ノラと出会った雨の日の話。
「でもね、本当は…ずっとここにいてほしい。ノラ、ここを帰る家だって思ってほしい」
一緒に生きていきたい。
ノラはもう、あたしの家族だって思ってる。
「あたしと生きて、ノラ…」
あたしはノラに向かって両手を広げる。
すると、ノラが体を起こした。
そして……。
「ニャー!!」
すると、ノラは勢いよくあたしの腕の中に飛び込んできた。それを、強く抱きとめる。
まるで、そう……。
あの時のように、あたしの傍にいるよって言ってくれたように思えた。
「ノラ、おかえりなさいっ…」
「ニャア……」
あたしの胸にすり寄るノラに、あたしは笑った。
そんなあたしを、嵐君が優しく見つめている事にも気づかずに…。