夏の嵐と笑わない向日葵
雨の中に飛び込んだせいで、結局あたしもお風呂に入るはめになった。
嵐君の方が冷えているのに、嵐君はあたしとノラにお風呂を譲ってくれた。
泥に汚れたノラを綺麗に洗って、今は嵐君がお風呂から上がるのをノラと待っていた。
「よー、向日葵、髪乾かしたか??」
「うん、乾かした」
お風呂から上がった嵐君の髪から、ポタポタと水滴が落ちている。
あたしは、そんな嵐君に駆け寄り、その腕を引く。
「向日葵!?」
「ここ、座って?」
あたしは、居間の座布団の上に嵐君を座らせて、その後ろに回る。そして、ドライヤーで嵐君の髪を乾かし始めた。
ボワァァァァッ
「向日葵が、俺の髪か、乾かしてくれんのか!?」
「うん」
照れているのか、嵐君の耳が真っ赤だった。
それでも、これだけは譲ってあげない。
今日は、嵐君に恩返ししたい、それで思い付いたのが、これだった。
「やっぱり、綺麗……」
あたしは、透けるような金髪に、指を通す。
サラサラしてるし、何より綺麗だ。