夢を見るボクら
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俺には兄がいた。
「兄ちゃん!」
「みや。どう?喧嘩は」
かっこよくてすげえ尊敬してた兄ちゃんが。
変なあだ名で俺を呼ぶ兄ちゃんが好きだった。
年は結構離れていたけど、バイクを跨ぐその姿は男の俺でも惚れ惚れするものだった。
そんな兄ちゃんは暴走族の総長をしていた。
もちろん、総長の弟として狙われることも多少あった。
だけど、兄ちゃんはどこに俺がいても必ず見つけ出して、汗流しながら走って駆けつけてくれる。
でも上には上がいる。
ある抗争で兄ちゃんよりも強いやつが現れて、押されているときがあった。
俺はたまたま友達の家の帰りにそこに通りかかって見たんだ。
兄ちゃんが殴られて蹴られている姿を。