夢を見るボクら



そう言ってグーの形をした手を前に突き出す。


「約束してやるよ!」


フンッと鼻を鳴らして手同士くっつける。

その日は兄ちゃんと男の約束をした日になった。


それからというものの、喧嘩をするときはその特攻服を常に身につけていた。

だけど背中に兄ちゃんの名前が縫ってあるから、簡易だけど黒い布で上から縫い付けて刺繍を隠している。


兄ちゃんが所属していた族、『黒龍』はだんだんと衰退していき、九代目のときに解散した。

上には上がいるのだ。


族がなくなったのは悲しいけど、今でも会う人は会うし、メールだってしている。

族に入っていない俺にみんな親切にしてくれた。


今でも大切な仲間だ。

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