(短編集)ベッドサイドストーリー・2


 サアサアと小雨が降り続いている。

 私は優しい気持ちになって、つい笑顔になった。爽やかな風を真正面から受けた気分。

「・・・いいなあ、私も、また恋がしたいな」

 ポツンと零した言葉に気がついて、自分でハッとする。

 恋なんて・・・もうこりごりだって思っていたのに。


 ブルーがかった透明なビニール傘。その下から見上げると、空から水玉が落ちては弾んで跳ぶのが見える。私はいつものように、またそれをじいっと見詰める。

 白い曇り空から水玉が。小さな丸い、透明な水たちが。

 次から次へと落ちて、地上に等しく降り注ぐ。

 それは交じり合って広がり、いつか、海へと届く。

 足許から手許から、完全に濡らしてしまった状態で、それでも私は心地よさを感じて笑う。

 水玉の世界ですっぴんの私。

 濡れたって平気よ、そんなの大したことじゃあない。


 くるくると傘を回しながら帰った。

 鼻歌を歌いながら。






・「ブルー・ポルカドット」終わり。
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