(短編集)ベッドサイドストーリー・2


「男性に興味がないってわけではないから、仕事も落ち着いた最近は、やっぱりちょっと寂しいって思うこともある。だけど、仕方ないわよね。もう一人の生活が出来上がってるし、大体恋愛のやり方も忘れちゃってるし・・・たまに、このままではいけないかもとか思うけど」

 目をそらして、窓の外の夜景に向けた。真っ直ぐに見る牧野さんの目に負けてしまいそうだったから。

「・・・でもこればっかりはね。またいい出会いがあるかも、そう思っていこうって考えてるけど」

 同情されるのは嫌だった。だって私は、別に不幸なわけでもないんだし。

 というか、何もこんなに正直に言うことなかったかも。さらけだしすぎだったかも――――――そんな考えが頭に思い浮かぶくらいに空白があった。無意識に拳を握りしめる。

 ああ、私は一体ここで何してるんだろう。ってか今は一体何時?もう帰らないと、明日の仕事に響く――――――――

「さて、と」

 何となしに気まずさを感じて、私は帰ろうと鞄を探して振り返る。すると耳の中に、静かなのにハッキリとした牧野さんの声が飛び込んできた。

「良かったら今度は」

 え?

 振り返った。

 さっきまでと同じように大きなガラス窓の近くにあぐらをくんで座って、牧野さんがこっちを見ていた。

「今度は、俺と食事にいきませんか。座って話すのはもう経験したから」

「――――――」

 私と、食事に?


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