(短編集)ベッドサイドストーリー・2
最近はどうなの。何か話したいことはない?プライベートも少し知っていて、でも知らないことも沢山ある私にだったら、話せることだってあるでしょう。出会って・・・ようやく半年だね。普段家族や恋人には言えないことを話してみて。あたしは飲み物も用意してあるし、音楽だってボリュームを下げた。だから、いつでも大丈夫だよ。
仕事はうまくいってるの?残業が多いらしいって前に誰かからか聞いたけれど、健康を過信しないでね。まだ若い?そりゃあそうだろうけれど、急にがくってくることだってあるでしょう。日本人って仕事を優先して栄養ドリンクで頑張るみたいなところがあるでしょう、あれって良くないことだって思うの。
・・・ちょっとうまくいってないんだね。うん。そうなんだ。年下の同僚って確かに微妙な位置にいるよね。うん。もういっそのこと、生物が違うって思って接すると楽になるかも。だってたまに、たまにだけど、日本語が通じてないんじゃないかって思うこともあるものね。そうそう、え、聞いてた?みたいなね。
最初は温めていたワインは少しずつ冷えて、今ではひんやりと冷たくなっている。あたしは窓際の椅子に楽な格好で腰掛けて、大切な彼に電話をする。
寒い夜はどうしても、声が聞きたくなることがあった。
つい半年前に出会った男性で、仕事関係のパーティーで会ったのが初めましての時。一緒にいた上司と名刺交換をしていた彼の出身大学が同じだと判り、その上に卒業年数が一緒だったと判明して、一気に仲良くなったのだった。マンモス大学だったからお互いのことは知らない。だけど、教授や同級生の名前などで盛り上がって親近感がわき、営業成果を求める上司が後ろからつつくので、パーティーではずっと話していた相手だった。