(短編集)ベッドサイドストーリー・2
・告白をもう一度
・告白をもう一度
唯子が私の部屋へと転がり込んできたのは、夜も10時をすぎてからだった。
直前に『いってもいい?』とメールがあってから、わずか10分でチャイムが押されて、お風呂上りだった私はまだ頭にバスタオルをまいていた状態で驚いた。
早っ!!と思って。え、何何?どこでもドアでも使ったか?って。・・・まあ、どこでもドアで10分かかっていたらそれは不良商品になるのだろうけれど。
とにかく慌てた私が玄関へ走って行ってドアを開けると、そこには冬の空気の中で上気した顔の唯子の姿。
「ごめんね、朝美!こんな時間に!」
・・・テンションも高いらしい。
ちょっと乱れた髪は後ろでまとめてあって、細身の黒いパンツに女らしい白いスマートなダウンコート。それは前があいていて、綺麗なデコルテが見えるVネックの緑色のセーターがのぞいている。ナチュラルに見えるけれどしっかりと作りこまれたアイメイク。先月一緒に買いに行った「落ちない」口紅で彩られた唇。今晩の唯子はえらく気合も入っているらしい。
私は曖昧な顔で笑って、とにかく入って、と通す。
私が住むのは都会の中心から徒歩圏内のオフィス街にあるマンションの8階。分譲マンションの2LDKだけど、4つ年上の兄が結婚してから住む予定でここを買ったあとに海外勤務が決まってしまったので、仕方なく妹である私に使わせてくれている。家賃はローン代と同額。それでも立地や間取りや広さや設備を考えたら賃貸の相場よりははるかに安く済み、兄のお陰で私はシティライフをエンジョイしている。