(短編集)ベッドサイドストーリー・2


「と、いうことは、付き合ってみてそのままいけば―――――」

 私の言葉に、彼女は大きく頷く。

「来年には結婚するかもってことなのよ!」

 しかも、話からすれば既に相手の家族には紹介済みらしい(まあ姉だけだけど)。

 私は言葉を出すことが出来ずに、目を見開いて女友達を眺めていた。

 ・・・それは、興奮するわけよね!

「すごいでしょ!?」
 
 そう言って私を見る彼女は、スポットライトを浴びて輝いているようだった。今がまさに、主役の瞬間。

「おめでとう、唯子。本当によかったわね」

 ようやく混乱がおさまって、私はそう言って微笑む。

「ありがとう~!」

 キラキラと光をまとった瞳で、唯子は笑う。あまりにも嬉しくて誰かに話したくなったのだろう。それって判る。だって・・・。

 私はまた話し始めた彼女の声をぼんやりと聞きながら、カーテンを引いた窓を見詰めた。

 あのカーテンの向こう、2重ガラスの窓の外には暗い夜の空が広がっている。ここは繁華街も近いから、夜とはいえど真っ暗ではない。だけどその空を越えて、山の方へいけば・・・彼が住む町がある。

 もう寝てしまっただろうか。

 いつものパジャマをきて、テレビでも観ているんだろうか。

 デートの約束を放置した今日、一体彼は何をしているのだろう――――――――


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