愛しすぎて。
「何でだって朝…。」
「今日朝練終わってからあいつが来て…話あるって。」
目を瞑るとすぐに浮かぶあの時の光景。
「それで…何て」
先輩が恐る恐る聞く。
「逃げ出したからわかんない…。」
顔を覆って下を向いた。
「……。」
先輩は何も言わなかった。
ただ俺の背中を擦るだけで。
どうすればいいのか。
本当はわかってる。
でも…どうなるのかもわかってしまっているから……
俺は動けずに立ち止まっているんだ。
亜由紗の性格はわかっていたつもり。
だからたくさん我慢もした。
俺は本当に一途に想い続けた。
気持ちが濁った事なんて一度もなかったのに…
きっと亜由紗は違っていたんだろうね。
もしかしたら初めから想われてなかったのかもしれない。
二人で作った思い出を振り返る。
幸せだと思っていたのは独りよがりだったのかな