愛しすぎて。
「…尚輝は私が何しても怒んない。メールが冷たくても、デートを断っても、男友達と一緒にいても。
それって私の事どうでもいいからなんでしょ」
「何だそれ……。」
言葉も出ない。
俺の我慢が全部無駄だったなんて…。
もう……どうでもいいや。
「ごめん。帰るわ。」
この場に二人でいるのが辛すぎて。
一人になりたかった。
「ちょっと待って。ちゃんと認めて。
尚輝は私の事なんて一度も好きじゃないなかったって。
私の…片想いだったって。」
足が止まり、手から荷物が落ちた。
待って。
「今…何て」
「ちゃんと認めてくれないと気持ちの整理ができないから。」
俺の聞き違いじゃないなら――
「お前…俺の事、好きなの」
「うん…。」
亜由紗が答えた瞬間強く抱き締める。
頭で考えるよりも早く、体が動いた。
「なっ…尚輝」
何も答えず、腕に力を込める。
「泣いてるの…」
亜由紗の言葉を聞き顔に手を当て、気付く。
涙がこぼれている事に――。