愛しすぎて。


「亜由紗(あゆさ)っ」





朝の待ち合わせ場所。


俺は彼女に声を掛けた。




「尚輝(なおき)遅い!」


膨れっつらで俺を見つめる。





全然怖くないよ



朝から抱き締めたくなっちまうから止めてほしい。





「ごめんごめん。昨日目覚ましセットするの忘れて寝坊した。」




俺は少しそっぽを向きながら言った。





「そうなのじゃあしょうがないっ!許してあげるよ。」



にこにこしながら亜由紗が言った。





優位に立つ事がそんなに嬉しいんだ



笑いをこらえたが、我慢しきれず見つかってしまった。





「ちょっと。何がおかしいの」



「いや別に何でも。」



「じゃあなんで笑ってんのよ~!!」



亜由紗が膨れながら言った。




端から見れば順調なカップルに見えるのかもしれない。


でも亜由紗は俺だけじゃなく誰に対しても同じこういう態度で。



そして極度のメール嫌いで男以上にメールがそっけない。






だから不安になるんだ…



俺はちゃんとお前の彼氏なの



…友達なの








お前の気持ちがつかめねぇよ……





< 3 / 87 >

この作品をシェア

pagetop