愛しすぎて。
「亜由紗(あゆさ)っ」
朝の待ち合わせ場所。
俺は彼女に声を掛けた。
「尚輝(なおき)遅い!」
膨れっつらで俺を見つめる。
全然怖くないよ
朝から抱き締めたくなっちまうから止めてほしい。
「ごめんごめん。昨日目覚ましセットするの忘れて寝坊した。」
俺は少しそっぽを向きながら言った。
「そうなのじゃあしょうがないっ!許してあげるよ。」
にこにこしながら亜由紗が言った。
優位に立つ事がそんなに嬉しいんだ
笑いをこらえたが、我慢しきれず見つかってしまった。
「ちょっと。何がおかしいの」
「いや別に何でも。」
「じゃあなんで笑ってんのよ~!!」
亜由紗が膨れながら言った。
端から見れば順調なカップルに見えるのかもしれない。
でも亜由紗は俺だけじゃなく誰に対しても同じこういう態度で。
そして極度のメール嫌いで男以上にメールがそっけない。
だから不安になるんだ…
俺はちゃんとお前の彼氏なの
…友達なの
お前の気持ちがつかめねぇよ……