愛しすぎて。
部室に入り朝練の為着替えをする。
そういえば…
どんなにぎこちない時でも朝が一緒じゃないのは初めてだ。
こんなにも淡々と時間って経つもんなんだな…。
―――練習が終わり、部室から出た俺に
「尚くんちょっと。」
「はい」
律季先輩が呼び止めた。
周りに人がいない事を確認して―――
「今日亜由紗ちゃんは休みなの」
あぁ…亜由紗の事か。
「あー。ちょっともめて…一緒に来てないんスよ。どうかしたんですか」
「もめたの??!そうなんだ…いや、いつも尚くんの練習見てる教室に今日いないからどうしたのかと思って。」
亜由紗がいつも俺を見てる教室…
「亜由紗がいつも練習見てる教室ってどこなんスか」
「あそこだよ。視聴覚室。てか知らなかったのいつも尚くんの事見てるんだよ。」
先輩の指す視聴覚室を見上げる。
――そうだったんだ。
見てるっていうのは少し聞いたけど、場所とか聞いたことなかったからな。
…俺のこと見ててくれたんだ。