愛しすぎて。
「高原尚輝シュート3本目!!!」
やっぱり大好きなサッカーをしてると落ち着く。
ピーッと朝の練習終了を知らせる笛が鳴った。
「尚くんお疲れさま。」
「あ、律季(りつき)先輩お疲れさまっス。」
サッカー部マネージャーの斉藤律季先輩。
俺らの一つ上の高校3年。
中学からの付き合いで俺にとって特別な存在。
「尚くん、プレイがちょっと荒れてたよどした」
「俺プレイ荒れてましたか全然自覚ないんスけどね…。」
「彼女とはうまくいってるの」
心配そうに先輩が言う。
「うーん…いってないかな(笑)付き合ってても俺の片想いって感じで。」
俺は先輩から目を反らし、亜由紗の顔を思い浮かべた。
「尚くんそうやってずっと同じこと言ってるじゃん。
それで…幸せなの」
少し悲しそうな顔して先輩が俺を見る。
「先輩が思う幸せと俺の幸せは大きさが全然違うかもしれない。
でも俺はあいつの…亜由紗の隣にいられるだけで幸せだと思えるかな。」