愛しすぎて。
俺は部室に入った。
すれ違う瞬間亜由紗は何も言わず俺を見ているだけで。
俺は亜由紗の方を見ることすらできず、ただ早くこの場を立ち去りたい一心だった。
「高原っ!!お前何やってる!もう出ろ交代だ!!」
コーチから指導を受ける。
どんなに集中しようとしても集中しきれない。
「すいません!」
練習試合の途中で俺はベンチに下がる。
頭を冷やそうと頭から水をかぶった。
しっかりしろと心の中で自分に言い聞かせながら。
「どうした…」
タオルを持って律季先輩がやって来た。
「先輩…。」
「ん」
先輩の優しい笑顔を見て少し落ち着きを取り戻せた。
そして――
「先輩俺…もうダメかも。」
この時初めて不安な気持ちを口に出した。
口に出すって楽になるんじゃなかったっけ
自分で認めてしまったような気がして苦しいのは
なんでなんだろう…。