Memorial School
First
S班
学校内に聳え<そびえ>立つ高い壁。
私には縁遠いものだと思っていた場所。
選りすぐりのエリートで構成されたグループ__S班__の班員のみが入れるその敷地内に、今私は足を踏み入れようとしている。
「後方支援科1年、エスです。」
『確認しました。カードをかざして下さい。』
門の両サイドには2人の警備員。右には入場システムがある。入場システムにはスピーカーとタイムカードのような機械があり、カードの中のICチップを読み取る仕組みのようだ。
生徒が入るだけの所に、なんて徹底したセキュリティ……。防犯カメラまである。
まるで選ばれなかった者を排除するかのような防犯システムに舌を巻くが、取り敢えず機械音声の指示通りに生徒カード(生徒手帳に付属している)をかざす。
『確認しました。解錠します。』
すると、金属の軋む音と共に門が自動的に開いていく。警備員さん達はその視線を真っ直ぐ前に向けたままぴくりとも動かさない。なんだか異様な光景だ。
………入っていいのかな。でも、開いたということは入って良いんだろう。
私はゆっくりと、足を踏み出した。
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