Memorial School
「へ……?遊ぶ……?」


話がある、と言っていたはずなんだけど、もしかして口実だったのだろうか。不安になっているのが顔に出ていたらしく、エイチさんは堪えきれない様子で笑い出した。



「あっはは‼嘘、嘘。冗談だよ。怖がっちゃって可愛いー。」



……ほんと、何なんですか。飄々とした態度にいい加減不快感を覚えた。



「あのー……、用が無いなら戻りますけど。」



最悪、何かされたら大声で叫ぼう。随分会議室からは遠ざかっているけど、ギリギリ聞こえるはずだ。




___そんな心配をしたことも、強ち間違いじゃ無かったようで。


気付けば、何かの建物の壁に、一昔前に流行った壁ドンというやつをされていた。



「え、ちょっ……‼エイチさ……」

「君に忠告。」


私の言葉を遮る、さっきまでとは打って変わった低い声。その眼差しに、軽さや明るさなんてものは微塵も含まれていない。



「エムさんに何かしたら、殺すよ?」



『何言ってるんですか』なんて笑い飛ばせなかった。

彼の『殺す』から滲み出る言葉の重みが、これが冗談なんかじゃないことを覚らせたから。
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