Memorial School
結局その後なんやかんや丸め込まれて連絡先を交換する羽目になり、少し雑談(エイチさんから一方的な)をして会議室へ戻った。



「あ、やっと戻ってきたー!何もされてない?」

「信用ないなー。だから大丈夫だって。」

「時間掛かりすぎよ。いいから早く座った座った。来週の試験についての会議始めるから。」



試験……班別定期試験か。

D2班からS班までが、それぞれのノルマクリアを目指してドローンと闘う厳しい試験。前までA1班にいた私が、このS班のノルマクリアに貢献できるのかは定かじゃない。



「会議っつってもやること変わんないじゃん。ノルマのレベル9はギリギリでもいつもクリアしてるし。」

「それが今回は違うの。2人以外には説明したけど、今回からS班のみ引き上げられて……レベル10がノルマになったの。地上ドローンが70機に飛行ドローンが40機よ。」



へ!?レベル10!?

前まで私がいたA1班はレベル8をノルマとしていた。ノルマはその班が頑張って頑張って頑張って頑張ってクリアできるくらいに設定されているので、それの引き上げなんていくらS班といえど正気の沙汰とは思えない。



「え、そんなのあり?いくらなんでも厳しいよー。っていうか毎度思うけどよく仕入れてくるよねそんな情報。それ試験の三日前に公表されるやつじゃん。そもそも毎回変わらないから普通調べようなんて思わないし。」

「念には念をが信条なの。とにかく作戦立てなきゃ。今回はエスも入ってくるから陣形を組み直すしね。」



突然出てきた名前に肩が跳ねた。そうだエスというのは私のことだ。私もS班のメンバーなんだから。

体力も格闘もそこそこの私がどこに配置されたって気絶コースな気はするが、そんな弱気では士気が下がりそうなので黙っておく。



「ま、とりあえずエスもエイチも座ったら?まず陣形の話から進めよう。」



ケイさんに促されて自己紹介の時と同じ席に着く。エイチさんも、何やら不機嫌そうな顔でエムさんとケイさんの間にあった空席に座った。
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