Memorial School
そしてその不機嫌さの理由はすぐに判明する。


「なんであんたが仕切ってんすか?ここは普通リーダーのエムさんっしょ。」



エイチさんは椅子に座って長い手足を組みながらケイさんを睨んだ。

先程"エムさんに何かしたら殺す"とまで言っていたくらいだから、彼は本当にエムさんを慕っているのだろう。それと同時に、どうやら他の3年生……アールさんやケイさんには敵意があるらしい。



「戦闘指令は俺の役目だから適任だしね。まあ別に無理に仕切りたいわけじゃないよ。何なら君がやってみたら?」



煽られたように、ケイさんも頬杖を付きながらエイチさんへ笑顔(少なくとも表面的には)を向ける。



「へえ、自分がよっぽどの重要人物だと思ってんすね。その上から目線は自信の表れっすか?だいたい俺はエムさんが適任だと思いますけどー。」

「……エイチ。俺はこういうの苦手だから別に……」



エイチさんはその言葉を無視してケイさんとの冷戦を続けていた。それほど彼が嫌いなのか。

確かに彼らは個人評価の心理__心理戦の能力__はトップクラスだった気がする。その2人が衝突するのだから相当ハイレベルになるだろう、とどこか他人事として見ていた。



だけど客観視している場合じゃない。これでは会議が進まないし、いつもこんな感じなのなら問題無いかもしれないけれど時間はやはり有限だ。

私はエムさんに仕切ってもらえるようこっそり頼もうとしたが、どうやらその必要は無かったらしい。



「ガキかよお前ら。いいからさっさと始めんぞ。」


思わぬ助け船に勢いよくそちらに目線をやれば、アールさんが苛立った表情で腕を組んでいる。



「アールに言われたくないなあ。」

「あんたに言われたく無いんすけど。」




アールさんの怒りが爆発するまで、あと3秒。
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