Memorial School

班別定期試験





『D1班戦闘不能。クリアレベル2。ノルマクリア』



スピーカーから無機質な声が響き、D1班の戦闘終了を告げた。D1は私の友達がいるところで下から2番目の班だ。

やはりノルマはギリギリクリアできるところに設定されている。ノルマ以上をクリアするのは至難の技だろう。いくらS班でも、ノルマ引き上げなんてされたら堪ったもんじゃない。



「エスー!」


S班の試験日である7月17日、つまり5日後のことに思いを馳せていると、先程戦闘を終えた友達から声が掛かった。



「エイ、お疲れさま。」

「もうほんと疲れたよー。しかも変に重症負っちゃったからドローンにやられるまで激痛だったしね。」

「見てたよ……あれは辛そうだったね。」



致命傷(となるようなダメージ)を負えば気絶のち退場だけれど、中途半端に重症を負えばもちろん痛いし退場もできない。そのため、戦略として自決(自分で自分に致命傷を与える)なんてものがあるくらいだ。

治癒能力持ちである保険医による治療は退場しなけらば受けられないので、一言で言えば地獄だ。



「ま、実戦授業とかじゃよくあるから慣れちゃったけどねー、私トロいし。エスは凄いよねー1年でS班だなんて。レベル2なんて余裕でしょ?」



人によれば嫌味ともとれる言葉も、エイが言えばそれが本当に称賛してくれているのだと分かるから、単純に嬉しくなる。



「でもまだまだ足引っ張るだけで……それにS班に入ったのだって先週だよ?」

「前まではA1だったでしょうが!どっちも凄いよ!!」



私も頑張ってエスなんか直ぐに追い越すんだから!と、エイは拳を握った。

1年生にしてS班。自分に才能があることは分かっているし、かと言って図に乗れる程強くもない中途半端な私にとって、エイのような反応は正直助かる。



「えーっと、S班の試験は5日後だっけ?応援してるからね!」

「うん、ありがとう。」



これだからこの子が大好きだ。
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