Memorial School
私がA1にいた頃も、事ある毎に浴びせられていた言葉を思い出す。



『A1のお荷物』『能力の強さと物珍しさしかない弱者』



決して理不尽な罵りではなく、それらは全て事実だった。S班の人達が私を選んだのだって、戦闘要員が事足りていたので治癒能力者でも、というただそれだけだったと思う。

体力や格闘だって中の上程度。強いて言えば頭脳と協調が良いが、それは強さに直結しない。



「……ごめんね、私なんかが………本当は入れるはずなんてないのに………」



彼女には本当に申し訳ないことをしている。誰よりも努力して1年にしてA2班員としての務めを完璧に果たしているエフからすれば、私に上に立たれるのはさぞ不快に違いない。

そう思って謝罪すると、エフはその綺麗な顔をさらに歪めた。



「あんたね………」

「え?」

「……何でも無いわ。精々本番では無様な姿を晒さないことね。」



最後まで皮肉を吐く彼女は私とエイと擦れ違いそのまま食堂の方へ歩いていった。その後ろ姿に向かって舌を出しながら「ベーだ!!」と叫ぶエイを横目に見ながら、私は無意識にエフの姿を目に焼き付けた。



"孤高"と表すに相応しい姿勢も、強さと努力から成る絶対的な自信も。それらを持つ彼女に少なからず憧れているから。
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