Memorial School
「エス、ちゃんと覚えてる?」
「……はい。」
「そう。まあレベル1からだからそんなに緊張しないで。前はA1だったんだから経験あるでしょ?」
「そ、そうですね……頑張ります。」
7月17日。日差しが煌々とグラウンドを照りつける中、S班の試験がいよいよ始まろうとしている。
A2班以上の上位グループは1日掛けて試験が行われ、さらにその最終日であのS班ともなれば当然生徒の注目度も高かった。私という新入りの1年生が入ったことがそれに拍車を掛けていると考えるのも自惚れじゃないだろう。
『レベル1、S班戦闘開始。』
暑さなんて微塵も感じさせない冷たい機械音声が、試験開始を告げた。
と同時に、出てきた空上ドローン3機が一気に爆発する。開始から3秒も経っていなかった。
[俺の仕事は終わりねー。あとよろしく。]
インカムから聞こえたきた軽い声に、少しばかり緊張が治まる。声の主はもちろん、爆発能力持ちで遠距離戦闘担当のエイチさんだ。
私は1週間前の作戦会議で言われたことを思い出しながら、2時の方向にいる地上ドローンへ駆けていった。