龍神×紅蓮
「希ちゃん、ありがとう。僕達を助けてくれて」
「ううん、あたしは何も…」
してない。
確かに助けたかった、でもあたしは特に何もしてないから。
「助かってるよ、希ちゃんには。俺達みんな」
そう言ったのは颯斗で、優しく微笑んでいた。
「そうだよ、希ちゃんのおかげで女遊びしなくなったし」
「俺も少しだけ女が怖くなくなった」
平次と洋介も。
「ありがと、みんな」
周りの下っ端達も微笑んでくれてて…
本当に紅蓮も良い奴ばっか……
これだから離れられないんじゃん……
「また、遊びに来てもいい?」
少し震えた声で言うと、
「何言ってんだよ、お前は俺達の姫なんだから来て当たり前だろ」
って、蓮華まで微笑んで言った。
…っ
いつも無愛想で笑わないのに…
こういう時に限って…
不意打ちは卑怯だ、馬鹿…
「……じゃあ、またね」
椿はあたしの腕を離すと、ヒラヒラと手を振ってくれた。
振り返したあたしは、倉庫を後にした。