龍神×紅蓮


「簡単に言うと、翠さんは世の中では死んだ事になっている。でも実は生きているって事ですね?」


理解してないあたしを見越してか、分かりやすい言葉にしてくれる悠司。


「まぁそうだな、正確に言えば、俺が殺したのは黒戸蓮次(レンジ)という人間だ」


黒戸…蓮次?


……まさか!?


「紅蓮の総長、黒戸蓮華は俺の実の息子だ」


っ……


やっぱり…


「蓮華と華子(カコ)、妻は俺が生きてる事を知らない」


死んだって思ってるって事…


翠さんがうちに来た時は、蓮華はまだ小学校に上がる前の男の子。


そんな歳の子に、ただ父親は死んだと言われただけで、受け止め切れるのだろうか。


蓮華…


「希、蓮華にはまだ言うなよ、俺の心の整理がついたら自分から話すから」


「…はい」


ごめんね、蓮華…


蓮華がお父さんが居なくて、寂しくて泣いてる時に、あたしが蓮華のお父さんの隣で笑ってたんだ。


「と、いうわけだから、佐賀組について知りたい事があれば翠に聞け」


「「はい」」


この時のあたしは、蓮華への申し訳ない気持ちでいっぱいで、来た時父さんの様子がおかしかった事なんて忘れてしまっていた。

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