龍神×紅蓮
「だから俺は、少なくとも紅蓮には感謝してるんだよ」
何も言わず、黙って話を聞いていた紅蓮達は辛そうに苦しそうな表情をしていた。
「光輝に関しては、いずれにしてもやりあわないといけないみたいだったし、別に誰のせいでもない」
それが少し早くなっただけ。
ま、それより…
「今の話を聞いて、希の事軽蔑した?」
「「「「してない!!」」」」
即答だな。
こいつらなら大丈夫。
希を闇の底から救ってくれるはずだ。
そう確信した時だった。
ブーブーブー
俺の来ているジャケットのポケットが震える。
携帯画面には、清羅。の文字。
「もしもし」
電話の向こうからは清羅の乱れた息遣いが聞こえる。
『希が鬼塚の所に…いや、光輝の所へ行った』
少し呼吸を整えた清羅が、静かにそう言った。
やっぱりか…
『俺が見つけた時にはもう車が出て行った』
一歩遅かったってわけか…
『俺はこのまま家に戻って父さんに報告する。近々、鬼塚組に乗り込む。覚悟ある奴だけ連れて来い』
「分かった、すぐ行く」
そこで電話は終わった。