龍神×紅蓮


「すみません。清羅、間に合わなかったそうです。希は光輝の元へ行きました」


誰もが驚いてる中、春日さんは表情1つ変えなかった。


「驚いてる暇なんかねぇんだよ、早く助けに行け馬鹿ども!」


さっきから機嫌が悪い春日さんは、口が悪い。


「覚悟がある奴だけ連れて来いって清羅が言ってたんだけど…」


「全員で助けに行く」


僕の言葉を遮ってそう言ったのは黒戸蓮華。


聞くまでもなかったってわけか。


「決まりだな。だが、お前らは入院中なんだ、外出は医者として許さねぇからな」


そう言って春日さんが指差したのは、渡辺兄弟と瀬ノ谷洋介。


「僕ら元気だし!希ちゃんを助けに行きたいんだよ先生!」


「俺だって会って、謝らないと!」


「俺もう治ってるし!すぐ退院出来る!」


それぞれが必死になって春日さんに訴えるけど…


「ダメだって言ったらダメだ!今のお前らが行った所で足手まといになるだけだ!」


その一言で一気に室内が静かになる。


あの時の事を思い出したんだ。


言葉は違えど、意味は同じだ。


「…分かったよ」


悔しそうに呟いたのは、渡辺桐。


他の2人も何も言わず、俯いていた。


「蓮華、約束してくれ。絶対希ちゃん助けて連れて来てくれ!」


「あぁ、必ず連れてくる」


ー悠司side endー

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