龍神×紅蓮


ー蓮華sideー


病室で希の過去を聞いて、俺らは自分の事みたいに苦しかった。


俺らの過去とは比べものにならない程、辛いものだった。


希はずっとこの辛さを背負ってきたのか…


今まで俺らは希に助けてもらってばかりで。


だから、今度は俺らが希を助けるんだ。


コンコン


「失礼します」


悠司に連れられ、やって来たのは沢神組の屋敷。


大きい日本家屋だが、組長の部屋だけ本で囲まれた洋室だった。


部屋の真ん中にある机の所に、組長はいた。


傍には清羅もいた。


「やっと来たか、まぁそこに座りなさい」


そう言われ、大人しく目の前のソファに腰を下ろす。


「単刀直入に言うが、1週間後鬼塚組を潰しに行く」


1週間後か…


でも、どうして1週間も待つんだ。


今すぐ行った方が、希だって…


「ちょうど今、翠を初めとする組員達の半分が出ているんだ。帰ってくるのが1週間後だ」


なるほど。


通りで屋敷内の組員も少なかったわけだ。


「それまでに、お前らで希の居場所を探せ。光輝は鬼塚組の屋敷とは別の所で監禁してる」


監禁…


さっきの悠司の話が思い出される。


希…


待ってろよ、すぐに助けに行ってやる。

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